Googleマップで意図しない個人情報が流出する危険性

 今度は,googleマップ個人情報流出騒ぎが起こっているらしい.
 以前,友人が「googleは個人情報の扱いに疎いし,プライバシー関連の問題ばっかり起こしているから使わない」って言うのを,それは余りにも過剰反応ではないか・・と聞いていたのだが,今思えば,別に過剰反応でもなんでもなく正しい反応であり,googleのサービスに対してはそれくらいの姿勢で臨んだほうが良いのだろうか・・・と思ってしまう.(関連[1])


 今度はGoogleマップで意図しない個人情報流出騒ぎ - Slashdot
 Googleマップの「マイマップ」公開設定に注意、個人情報掲載例も - INTERNETWatch

Googleマップにはユーザーが地図上に目印やコメントを記入して保存できる「マイマップ」機能があるが、これが新たな個人情報流出元として話題になっている。
朝日新聞が詳しいが、マイマップ機能では作成したマップの公開/非公開をユーザーが設定できるものの、そのデフォルト値は「公開」になっているため、ユーザーが意識しないまま作成された地図が公開されてしまう例が多い模様。公開されているマイマップはGoogleマップの検索オプションで「ユーザーによるコンテンツ」を選択することで簡単に検索できてしまう。
     今度はGoogleマップで意図しない個人情報流出騒ぎ - Slashdotより引用

 多くの人間が,マイマップを「公開」にしており,またマイマップの情報が個人情報を多分に含む内容で編集されているために,多くの問題が発生したり,あるいは一部の掲示板では祭りに近いことが起こっているようだ.そして,じゃあ「非公開」にすれば絶対に安全か・・というと,そうでもないらしい.

なお、「公開/非公開」の違いは「非公開マップは作成したマイマップがユーザープロフィールページや検索結果で表示されない」だけなので、非公開マップでもURLが分かればアクセスできてしまう。そのため、Google以外の検索エンジンでば非公開マップが検索結果として表示されることもあるようだ。

     今度はGoogleマップで意図しない個人情報流出騒ぎ - Slashdotより引用

 URLが特定されれば,「非公開」にしていてもアクセスすることが出来てしまうし,google以外の検索エンジンでは非公開マップであっても検索結果として表示されることがあるらしい.これでは,何のための「非公開」か分からないのだが…….これに関しては,googleは以下のようなスタンスであるようだ.

グーグルではマイマップ機能については「原則として誰にも見られたくない地図はここでは作成しないことをお勧めします」とヘルプページに記載している。また、マイマップの作成ページには、プライバシー設定の「公開」に「検索結果や自分のプロフィールにこの地図が表示されても構いません」と記載されているが、こうした注意書きが読まれていないためか、個人情報を含むマイマップが一般に公開されている例も見られるようだ。
     Googleマップの「マイマップ」公開設定に注意、個人情報掲載例も - INTERNETWatchより引用

 ヘルプページに,「原則として誰にも見られたくない地図はここでは作成しないことをお勧めします」と記載しているらしいのだが,こういう重要な事項はヘルプではなく,トップあるいは作成時に言明される形で表示するべきではないのだろうか.ヘルプというのはあくまで副次的項目であって,第一義的には読まれることはないページとして捉えるべきだと思うのだが.そして,案の定大半の方はその一文に気づくことなく,個人情報を含むマイマップを作成してしまい,今の諸問題が発生しているように思う.
 googleが最初からそのスタンスだったのであれば,"プライバシー設定"に関して(非公開であっても云々)はそのままで良いと思う.ただし,そういうプライバシー上の懸念が発生する恐れがあること,マイマップの本来の目的と意図しない形での個人情報流出の危険性に関して,googleはもっと明示的にユーザーに示す必要があるだろう.


追記 08/11/05 17:00

グーグルは4日、Googleマップの「マイマップ」機能を利用しているユーザーに対して、公開設定の確認を呼びかけた。同社公式ブログで注意点などを説明しているほか、Googleマップのトップページにも同ブログ記事へのリンクを掲載している。

     グーグルが注意喚起、「マイマップ」公開設定の確認を - INTERNETWatchより引用

 というわけで,珍しくgoogleが素早い対応を見せているようだ.

グーグルでは、マイマップ作成時の公開設定について、従来の「非公開」という表記ではわかりづらいという指摘を受けたとして、表記を「限定公開(URLで共有)」に変更。また、「公開」も「一般公開」に表記を変更し、注意書きも「検索結果や自分のプロフィールにこの地図が表示されます。URL(アドレス)を知らなくても、検索結果などから地図にアクセスできます」と従来よりも長くなった。また、不適切なマイマップについては、Webから削除を申請できるフォームを設けている。

     グーグルが注意喚起、「マイマップ」公開設定の確認を - INTERNETWatchより引用

 表記に関しても,改められたことで以前よりは誤って公開する人が減るのではないかと期待される.ただし,既に誤って公開されている情報に関しては,各ユーザーが削除申請をするしかないので,当分,祭り状態は続きそう.


追記 08/11/09 13:00

 削除すれば良い……というわけにもいかないらしい.むしろ,公開された情報を少しでも早く削除しようと,自分でデータを削除してしまうと,残骸が残って消せなくなってしまったり,データが復活してしまったりするらしい.

 緊急周知 Googleマイマップの削除で残骸が生じて消せなくなる欠陥 - 高木浩光@自宅の日記

googleのずさんな体制に呆れるしかないんだが…….どうも,削除申請もこの問題における有効な対策にはなり得ないらしい.

また、朝日新聞の記事で、グーグル株式会社は「削除申請などを勧めている」とされているが、私が、5日の18:30に削除申請した個人情報の含まれた残骸地点は、29時間以上が経過した現在も、ひとつも消えていない。これだけ問題が大きくなっているこの時に、なぜこの程度の作業が迅速にできないのか。

削除要請フォームはあてにならないようなので、電話で要求するしかないと思われる。



グーグル株式会社
TEL: 03-6415-5200
FAX: 03-6415-5201


追記(7日)

5日の18:30に削除申請した個人情報の含まれた残骸地点は、51時間が経過した現在も消えていない。

     緊急周知 Googleマイマップの削除で残骸が生じて消せなくなる欠陥 - 高木浩光@自宅の日記より引用

 この問題における有効な対策としては,公開したくない情報部分を意味不明な文字列に書き換えて,その後に消すという方法を取らなければならないらしい.ただし・・それをしても,きちんと変更が反映されるかどうか保障はないようだが.
 Googleマップにプライベートなデータを載せてしまった人は……ご愁傷様と言わざるを得ない.

関連:
[1] GMAILに本名がばれる危険性