IBMがDARPAらと提携し脳機能を模倣した次世代コンピュータの研究・開発を開始

  米IBMIBM Researchは11月20日,大学5校(スタンフォード大学ウィスコンシン大学コーネル大学コロンビア大学医療センター,カリフォルニア大学との共同)および米国国防総省国防高等研究事業局(DARPA)と協力して人間の脳のように物ごとを認知・分析し,行動に移すことが可能なコンピュータシステムを開発すると発表した.


 IBM、5大学と提携し人間の脳のように機能するコンピュータを開発 - ITmedia
 脳の知覚や相互作用力を模倣したデータ処理を可能に - COMPUTERWORLD.jp

デジタルデータは年々爆発的に増加しており、ビジネスに役立つ多くの情報があふれているが、それらの情報をリアルタイムで分析し、反応する能力がなければ情報の価値は減ってしまう。認知コンピューティングは、企業や個人がそうした情報に基づいて瞬時に判断するためのシステムを提供するという。

 IBMらは「Cognitive Computing via Synaptronics and Supercomputing(C2S2)」を提唱。今後9カ月間、シナプトロニクス、物質科学、神経形態学的回路、スーパーコンピューティングシミュレーション、仮想環境などの分野にわたり、人間の脳の仕組みの模倣を目指す認知コンピューティングの研究開発を行う。また脳のように、消費エネルギーの低い小型デバイスの開発も目標にしているという。
     IBM、5大学と提携し人間の脳のように機能するコンピュータを開発 - ITmediaより引用

 そして、この研究の一環として行われているナノ・テクノロジーの研究により、低消費電力の微細な認知型コンピューティング・チップに脳の機能を実現できることが明らかになっているという。さらに、神経科学の研究も十分に成熟してきているほか、スーパーコンピューティング技術も、幅広い仮説を検証する大規模シミュレーションに着手できるほど進歩しているとのことだ。

 モダ氏は、新しいプラットフォームの実現時期については明らかにしなかったものの、それによって変化する“未来図”は描いているようだ。「この長期的研究は、非常に困難なものではあるが、将来多くの技術的ブレイク・スルーにつながると信じている。当社がこのプラットフォームの構築に成功すれば、従来のコンピューティングの枠組みに取って代わる可能性のある、まったく新しいコンピューティング・アーキテクチャとプログラミング・パラダイムが生まれるだろう」
     脳の知覚や相互作用力を模倣したデータ処理を可能に - COMPUTERWORLD.jpより引用

 この研究が成功すれば,いわゆる「思考し自我を持つコンピュータ」が誕生するかもしれない.いよいよ,ターミネーターマトリックスのような世界が訪れるのだろうか.

 まあ,冗談はさておいて,この研究成果は,計算論的神経科学の分野においても大きく貢献することになると思う.機能論的に脳機能の解明などが行われれば,IT分野,情報理論の分野だけでなく,脳科学など他分野においても得るものは大きそうだ.非常に困難を極めそうなプロジェクトだが,その分得るものは非常に大きそうなので,今後に注目したい.