ホンダが開発した「体重支持型歩行アシスト」に関して

 ホンダ、「体重支持型歩行アシスト」の記者会見を開催 - RobotWatch

 まずは業務支援用として検証を開始・・と書いてあるが,これの効果が真に期待されるのはリハビリテーションの分野ではないかと思う.

まず「リズム歩行アシスト」に関しては株式会社本田技術研究所基礎技術研究センター主任研究員の及川清志氏が解説した。「リズム歩行アシスト」は歩行機能の低下による活動範囲の減少、そしてそれがさらに歩行機能を低下させるというループを解消して楽により速く、遠くまで歩けるように歩行補助を行なうものだ。腰の部分の2つの薄型モーターで歩幅と歩行リズムを調整する。重量は2.8kg。モーターの角度センサーで股関節の動きを読み取り、内部モデルと照らし合わせ、目標とする制御値とのずれを検出しモータにトルクを発生させる。共振現象を利用しており、わずかな力を足が前後にふれるタイミングにあわせて出力する点が特徴だ。

 人間の1分間の歩数と歩幅の関係=歩行比は一定であることが知られている。一般的に加齢とともに歩行比は小さくなり、人はこきざみに歩くようになる。だがリズムアシストをつけることにより、歩幅がより大きくなり、と楽な感じを受けることができるという。また、歩幅が広げられることにより股まわりの筋肉と下腿部の筋肉が動いて鍛えられ、3カ月程度装着歩行訓練を行なうと、機器をつけなくても歩幅がより広がる効果が認められるようになる。
     ホンダ、「体重支持型歩行アシスト」の記者会見を開催 - RobotWatchより引用

 歩行時において,膝にかかる力というのは想像以上に大きい.具体的な計算はしなくとも,体重の何倍もの力がかかることは容易に想像出来るだろう.そして,リハビリにおいても,術後など筋力が弱った状態で自力で動かすというのが難しい.そういう場合に,こういうアシストシステムは非常に効果的だと思う.具体例として挙げるなら,人工膝関節を入れた後のリハビリにこのシステムは非常に有効なのではないかということ.リハビリ時に意識的に自分の力で膝を上げるのは難しいが,このアシストシステムを使えば,共振現象を利用してわずかに膝を上げようとする力に合わせてモーターを駆動させてアシストする.
 かなり前の話ではあるが,専門の方が仰っていたのは,「(人工膝関節手術後の)リハビリにおいて大事なのは,自分で動かせるところまで動かして,さらに(無理しない範囲で)少しだけ動かしてやると良い」ということだ.このアシストシステムは,それを巧くアシストし得る可能性があり,リハビリテーションの現場で用いられるのではないかと思う.
 もちろん,今はまだ検証段階であり,実用化までの道のりは長そうではあるが,体重支持型歩行アシストシステムは業務支援よりもリハビリテーションの現場でこそ活用が期待出来るシステムだと思うので*1本田技研工業株式会社はぜひそちらの市場を視野に入れて,むしろその方向性で以って頑張って欲しいと思うのだが.

*1:業務支援のアシストシステムはHALのほうが完成されてるように思うし