各有名私大,不景気の煽りで有価証券含み損 225億円の損失も

 私大の多くは,資産運用として株式投資投資信託などの金融取引やデリバティブなどの金融商品を扱っている.大学といえば,経済学部や経営学部を有しており,資産運用も一流かのように思うが,この不況のあおりを避けることは出来なかったようで,次々に含み損を出していってるようだ.大学によっては,キャンパスやグラウンドを担保に入れているところもあり,最悪学生にまで影響を出しかねない状態ともなっている.

 18私大、有価証券含み損688億円…読売新聞調べ - 読売新聞

デリバティブ金融派生商品)取引で154億円の損失を出した駒大では、清算のために東京・世田谷のキャンパスやグラウンドを担保に入れ、金融機関から110億円の融資を受けた。リスクの高い取引で巨額の損失を被った責任を問われ、宮本延雄理事長が18日に開かれた理事会で解任された。南山大などを運営する南山学園と愛知大もそれぞれ34億円、28億円の損失を確定させている。

---中略---

 約69億円の含み益から一転して、約225億円の含み損になった慶応大。収入を安定させる目的で株や投資信託仕組み債などに分散投資しているといい、有価証券の取得額も1250億円と、23大学中で最も多い。広報室では「市場環境の変化で含み損が膨らんだ。長期保有が原則なので、現実の損失にはなっていない」と説明している。
     18私大、有価証券含み損688億円…読売新聞調べ - 読売新聞より引用

 駒澤大学は,キャンパスやグラウンドを担保に入れる始末.慶應大は最多の225億円の含み損を計上しており,有価証券の取得額は1250億円と非常に多い.今後,運用次第では更に損益が拡大する恐れもある.ただ,慶應大は母体そのものの資金力が圧倒的であるのと,あくまで長期保有目的の有価証券を現状で売却した場合の話なので,実質的な損益を出しているわけではないらしい.

 また,関西の有名私大では,同志社関学,関大ともに含み損を拡大させており,唯一立命館のみが含み益を計上している.また,上記記事のグラフには載っていないが,読売新聞12/21(日)の朝刊34面の資産運用状況に関するグラフを見ると,青山学院の含み益が圧倒的である.青学は各私大が軒並み含み損を計上しているのに対して,約50億円もの含み益を計上している.各大学は,青学から資産運用法を学んだほうが良いのではないか・・と思ってしまう.

 大学は企業ではないのだから,がむしゃらに利益を追求するべきではない.第一義的に「学術」に重きを置き,そちらに支障が出るような資産運用は避け,もっと慎重に運用して欲しいものだ.