脳内画像を脳活動から再現することに成功 国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)

 人が目で見て認識している視覚情報を、脳活動を調べることで読み取り、コンピューターで画像として再現することに国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)などの研究チームが初めて成功した。まだ単純な図形や文字で成功した段階だが、将来は夢を映画のように再現できる可能性もあるという。11日付の米科学誌ニューロン」に発表した。
      夢を映像化!?脳内画像を脳活動から再現 - 産経新聞

 この研究が新しいのは,やはりイメージを画像として再現できた・・ということだろうか.理論的な部分や理屈などはそう新しいものではない.カリフォルニア大学の研究を見ていても,画像として再現こそされていないが,システム的なものであり,視覚情報の判別が可能な状況まで成果が出ている.つまり,fMRIによる視覚イメージの識別や判別っていうのはそう新しいものではない.

 1次視覚野(V1)の神経細胞は,網膜の光受容細胞の立体位置をそっくり反映したような位置構造になってる.そのため,目で見た映像と同じ図形イメージが視覚野の神経細胞群で生じることになる.つまり,理論的には,精度よく神経パターンを読み取ることが出来れば,その人が何を見ているのか,あるいは何をイメージしているのかも分かるということになる.(心的表象に関しては,イメージであるか命題集合であるか説が分かれるところだけど(僕はイメージだと思ってる))(関連[1])

 ちなみに,色の判別(色の知覚)は第4次視覚野(V4)であるため,V1だけだと白黒な(濃淡というか)イメージしか捉えられない.しかし,過去にとある論文の著者名で調べたところ,V4領野に関してもうまいこと出来てる……っぽい論文があった.*1 したがって,視覚情報を再現するに当たって,原理的には色の情報も再現しうるということが分かる.(関連[1])

 あと,この記事では詳しくは書かれていないけど,fMRIを使っているのだから以下のような方法であると推測できる.fMRIMRIに比べて,時間分解能こそ優れるが空間分解能は劣る.しかし,何らかの解析手法を構築して,パターンマッチング的な方法で,誤差を縮小化して精度よく判別することに成功してるのかな〜と推測される.ちなみに,血流変化を見るのはMRIではない.

 その人が何を見ているのか,あるいは何をイメージしているのかも分かる技術の確立……果ては,夢の映像化,再現……面白そうだなあ.

関連:
[1] 脳波で思考を読み取れるか

*1:もっとも,読む暇なかったんで,タイトルやアブストを流し読みしただけだが